農村塾

農村塾とは?

若林区沿岸部において、持続できる農業・農村を地域ぐるみで創ることを目指す取り組みのことです。農家が就農してから地域へ定着するまで幅広い支援を行い、農村の担い手を育成することを目指しています。ReRootsと、卒業して若林区で就農した農家とが共同で構想し、農家が地域農業の持続に向けて横に手を結んで運営することを目指します。

地域の抱える課題 

1.農家の担い手不足

若林区沿岸部は市内随一の農業が盛んな地域でした。しかし、東日本大震災による津波被害で地域農業は甚大な被害を受けました。被災により離農した人や地域外に転出した人も多く、長年地域を支えてきたベテラン層が高齢となる中、地域農業の担い手不足が深刻です。

2.農村コミュニティの希薄化・空き家問題

若林区沿岸部では被災により人口が大きく流出しました。地域内にあった2つの小学校が閉校したことにより、ファミリー層の減少が著しく、高齢化が進行しています。そうした中で、地域内での見守りや、地域行事の運営など、農村コミュニティが持つ自活機能の衰退が危惧されています。また、高齢者夫婦の2人暮らしや独居の世帯も多く、今後地域内に空き家が増加することが予想されます。

若手農家が定着していく上での課題

①土地の確保

就農するにあたり、まずハードルとなるのが農地の確保です。補助金を利用するには一定の規模の農地を運営する必要がありますが、農地を借りるにも地主の信用がないと借りることが出来ません。

②技術不足

就農したばかりの農家は、ベテラン層との技術力の差がある上に、地域とのコネクションがない状態では技術を教えてもらうことが難しくなります。また、地域の気候に合わせた農法を習得するのには時間がかかります。

③労働力不足

若手農家の労働力不足は深刻です。収入を確保するためには多くの経営面積が必要ですが、その分の農地を管理するには膨大な作業量が必要です。農地の管理以外にも、野菜の出荷など、経営に必要な作業全体に取り組まなければいけません。

④販路・経営

農家が収入を得るには、新規の販路を確保することや、作物を収穫し、出荷する作業を行うことが必要になります。しかし、慢性的な労働力不足もあり、生産と並行しながらこれらの作業を行うのは農家には負担です。

こうした農家の抱える諸課題を一元的に捉え、その解決に取り組むのが農村塾です。

内容

①研修の受け入れ、生産技術の獲得

現状では就農希望者の研修の受け入れを、行政、農協、農家がバラバラに取り組んでいます。生産法人や専業農家に希望者をあっせんする仕組みづくりを目指します。また、同時に就農後もベテランの農家から技術を教えてもらう仕組みを目指します。

②法人への就農、または土地・作業場の確保

生産法人で研修を行い、そのまま就農に結びつくことで、定着までの見通しが立てられます。また、個人就農の場合は、農地、作業場の確保が求められます。研修先の農家と若手農家が結びつき、若手農家が新規就農者の橋渡し役となることを通して、地主も安心して土地を貸すことのできる仕組みを目指します。

③販路の獲得

独立就農した農家は、限られた時間の中で自力で販路を確保していく必要があります。そこで、出荷作業や運搬の共同化を進め、協力して販路づくりを行っていくことを目指します。

④労働力の確保

新規就農者の輩出を進めながら、都市部のリタイヤ層の通い農パート、農福連携による障がい者の雇用、学生インターン受け入れなどの手段を模索し、地域外から労働力を呼び込む仕組みづくりが求められます。

⑤組織マネジメントの習得

外部から労働力を確保したり、新規就農者が定着していくためには、新規就農者や労働力として来てもらった方にどう組織的にまとめていくかという組織マネジメントについて、農村全体として学んでいく必要があります。どこが困難なのか、地域ぐるみで協力して取り組むことが必要になります。

⑥地域の行事、自治活動への参加

農村に定着していくには、農業技術やハード面の支援だけではなく、地域の文化、歴史、習慣を学んだり、お祭りや草刈りなどの自治活動に参加していくことが必要です。

⑦地域への移住

若林区沿岸部は市街化調整区域に指定されていることもあり、新たに家を建てることは困難です。空き家を活用するなどして、農家の担い手が地域へ移住し、土着していくことを目指します。

計画

2023年4月開講の農村塾。その今後について。

2023~仕組みづくり

2023年以降は、農村塾を開講し、農村の担い手の育成・定着への仕組みづくりを行います。技術研修等の単元整備を行うほか、講師や研修など連携先と関係を作りながら連携を進め、また、作業場の共同利用を順次始めていきます。出荷組合・農業法人への研修などを通して研究し、就職のあっせん・労働力確保の仕組みづくりを行います。これらを、地域の農家と対話しながら進めていきます。

2026~次世代の後継者輩出

この段階から徐々に農村塾から次世代の後継者輩出を目指します。また、各地区の集落の垣根を超えた連携づくりを目指します。若者が移住し農村の担い手として土着していくというビジョンを、農村地域が全体の問題意識を持ちながら取り組みます。